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廃村になった地域に珈琲の香りが!「山香社」さんのご紹介

久美浜の廃村にたたずむ珈琲豆屋さん

久美浜町に、自家焙煎した珈琲豆のお店ができました。
経営しているのは中村さん夫婦。
店主の中村智彦さんは、学生時代に珈琲にハマり、その後日本中を回って珈琲の味を確かめたり、機材を集めたそうです。
どんなお店なのか、さっそく聞いてみました!

店主の中村智彦さん(30)

高性能な焙煎機を使った珈琲豆を販売

中々手に入らない「井上製作所」製の焙煎機

山香社では、今のところ、珈琲豆を自家焙煎して販売しています。
定番ともいえるコロンビア産はもちろん、ブラジル産やケニア産も扱っています。
 -焙煎ってよく聞く言葉ですが、どういう意味なんでしょうか?
珈琲豆って見たことありますか?多分、こんな形をしていると思うんです。

おなじみの珈琲豆

 -よく見るやつですね!
でも元々は、こんな見た目をしているんです。

白い!?珈琲豆

 -なんですかこれは!初めて見ます。薄い色をしているんですね。
この豆を水洗いして、乾燥させて、焼くんです。この焼く作業のことを焙煎って呼んでるんですよ。自分のお店で焙煎してるから、自家焙煎というんです。
山香社で使っている焙煎機は、井上製作所という長野県の会社さんが製造されたものです。
珈琲にはいろんな流派があるんですが、その源流ともいえる味が引き出せます。
ちなみに、普通自動車1台分くらいの値段でした(笑)

店内には、半世紀以上前に作られたコーヒーミルも。

-お店で珈琲を飲むことはできないんですか?
今は試飲と、豆の販売だけにしています。毎週日曜に開けていますが、7月1日からは木、金、土曜に開けようと思っています。
いずれカフェスペースも開く予定です。

市役所を退職、そして開業

-ところで中村さんは、お店をオープンするまではどこで何をされてたんですか?
僕、久美浜出身なんです。大学で京都市内に出て、Uターンしてカフェで2年ほど働いていました。その後は転職して、この3月まで市役所で働いてました。
-エッ!市役所を辞めて、開業されたってことですか?どうしてまた?
自分の珈琲を作りたくなったからですね。

学生時代を振り返る中村さん

珈琲を飲み始めたのは大学生の頃です。お酒が苦手で、代わりに珈琲を飲んでいたらハマってしまいました。
それ以降、北海道から沖縄まで珈琲店を回りました。趣味が高じて機材を購入し、自分で珈琲を作るようにもなったんです。
そうなると、珈琲の飲み方が変わるんですよ。「あ、この珈琲はこういう技術で豆をひいているな」とか、そういうことが分かっちゃうんです。
ところが、4年ほど前に飲んだ珈琲に衝撃を受けたんです。
島根県の珈琲店ですが、自分の想像を超える味でした。色んな珈琲を飲んできたので、自分の中で「珈琲ってこういう味だよね」という想定があったのですが、それを上回ってきた。
僕も、そんな珈琲を作りたいと思ったんです。

お客様の想像を超えるために、修業は欠かせない

-自販機やチェーン店の珈琲とは何が違うんでしょうか。
大量生産する商品のメリットは、「どこでも同じ味」が楽しめる点だと思います。僕の場合は「ここにしかない味」をお客様に提供したいと考えています。
島根の珈琲店には何度も通って、店主の方に、自分の作った珈琲を飲んでもらっていました。それでダメ出しをいただいて作り直す。これの繰り返しです。
あと、先ほどの半世紀以上前のものよりも、更に高性能なコーヒーミルを自宅に置いているのですが、これは千葉県の方に譲っていただいたものです。古いものなので手に入りにくいのですが、ネットで調べたら、お持ちの方を見つけまして。会ったことの無い方でしたが連絡を取りました。「譲るかどうかは君の珈琲を飲んで決める」と仰られたので、千葉県まで行って珈琲を飲んでいただきました。もう必死ですね。
「君みたいな人材は絶滅危惧種だから保護しないとね」と応援していただいています。
お金の面では苦労して、自家用車を売ったほどです。そこまでしても、僕のことを応援してくれる妻には何よりも感謝しています。 

色んな人との出会い、応援があって山香社は誕生しました

お店を地域の交流の場にしたい

--これから週3営業にカフェスペースの開設など忙しくなりそうですが、将来の展望はありますか?
地域の面白い人たちと触れ合いたいし、そういう人たちが活躍できる場としてカフェスペースを使いたいと考えています。
特技はあるけれど、それを披露する場所がないという方には、ぜひ使っていただきたいです。
元々このあたりには人が住んでいました。でもそれが廃村になってしまった。このお店をきっかけに、人でにぎわったら良いなと思います。

カフェスペースを現在準備中。いずれ、珈琲の香りでいっぱいになることでしょう。